時間、お金、気力、労力、言葉
かけてもかけても、なかなか思うようなリターンを得ることができないものだ。
ふりかけは、少しでも白飯に乗せてしまえば充分なものだけど、
尽力した物事のリターンはなかなかそうはいかない。
ましてや、頑張らなかったら、手抜きをしていたら、サボって怠っていたら。
リターンどころか、身や私財を削るような日々になってしまうようだ。
つい先日、知人の人生が困窮して壊れかけた。
生活に労働や努力、結果や報酬がなくなり、快楽や堕落、応報や貸し借りが充満したようだ。
混乱と狂乱、腐食、腐敗、散乱、自暴、忘却、混沌、虚言、暴言、嫉妬、そして慢性的な嘘。
毎夜毎夜、これらを引き連れた百鬼夜行に興じていたようだ。意味はない。
借りた金で酒を飲む、歌う、食う、遊ぶ、打つ、吸う、話す、かぶく、嘯く。
親からの緊急支援も、疾風迅雷。
友人の心配は、諸行無常。
行いは最後まで正されず、考えは最初から停止している。
どうやら精神も難しいことになっているようだ。
どれだけ話をさせてもらっても、程度の悪い嘘と狭い視野角、歌舞伎状態が邪魔をして進行しない。知らぬ存ぜぬから、何でも知っていて、何でもできるかのような無敵状態への精神変化が恐ろしく早かった。また、無知と経験の少なさは罪に近いと思った。
推測だが、これまで尋常ではないほどの繰り返しをしてきている。
脳内で無理やり、絶望を希望に変換する。罪を正義に転嫁する。
困窮からの脱出、老いからの脱却、敗北から勝利、不安から安寧、凶から吉、嘘から誠。
君は言う。
けっこう頑張った。そんなに遊んでない。たまにしかやってない。嫌になった。
楽しいことがしたい。挑戦はしたくない。色々勉強してきた。ゆっくり考えたい。
後輩を可愛がっているし、慕われている。飲み方を知っている。必要とされている。
あいつらはわかっていない。準備をしっかりしたい。練習をしたい。聞き上手だから。
もしそれらが事実だとして、本当に反省の余地がないとしてだ。
それらの事実に見合ったリターンがもしあったなら、返ってきているのなら
今のその困窮は何なんだろう。
冒頭でも綴ったが、報酬を含むリターンと言うものは、かけた時間や労力に見合う保証はない。
しかし、その経験や知識は当人に残ると思った。
自分に不遇を思いこむことはたまにあるが、嘆かずに対処できた人間には
手に入れるものがある。
夢にかぶれて、夢を傘にして現実逃避し、遊び呆けた結果故郷にリターンする君。
回ってきたツケを返せるかは知る由もない。君次第だから。
もしこれからの君が、耳が痛い自分に都合の悪いアドバイスも、持ち前の聞き上手で受け止められて、謙虚になって新しい勤め先の面々からも慕われるようになるのなら。
自分の苦労を他人に堅持せずに、自分の気配りを他人に誇示しないようになるのなら。
あの山田うどんにでも行こう。あの日々に帰ろう。